再話の話(2)

 
いきなり「○○について話せ」と言われてもそう話せるものではない。何について話せばいいのか考えているうちに、どんどん時間が経過してしまう。再話の良いところのひとつは、あらかじめ話す内容が決まっているということだ。何について話すか迷う必要はない。もちろん、何について話すかを考えることは大事なのだけれど、内容について考えることと発話の訓練は別物。とりあえず、ここでは自分の考えたことというよりも、意味を伴った英語を相手に伝わるように発話するという訓練をしてもらいたい。内容を考える必要がない分、発話の訓練としては効率的と言えるのではないだろうか。

僕の授業の流れでは、英文再生をした後での再話なので、やろうと思えば教科書本文をそのまま喋ることだって可能だ(実際、そういう生徒もいた)。でも、それはこちらの意図したことではないので、できるだけ教科書とは別の表現を使ってみるように言っている。イメージとしては、取り込んだ英文を自分の脳みその中で加工して自分の英語として吐き出すという感じ。でも、そんなにうまくはいかない。果敢に攻める生徒もいるけれど(果敢に攻めたけれど玉砕する生徒もいる)、教科書の英文をいい加減に端折ってしまったために、代名詞が何を受けているのかわからないものになってしまったりする生徒もいる。なかなか難しいものだ。

再話のフィードバックは難しい。生徒がペアで再話をしている間、教室の中を歩き回っているのだけれど、僕が近付くと声が小さくなったり、「えー」とか「あー」とかやたらと間投詞が多くなったり、話をするのをやめてしまったりする生徒もいる。前任校ではALTとふたりで生徒のペアワークの中に入り込んだりもしたのだけれど、この学校ではちょっと難しい。というわけで、ふたりくらいに全員の前で再話をしてもらってコメントをしたりするのだけれど、ふたりじゃねぇ……。ただ、これもハマるとその後の要約のクオリティがぐっと高くなる。あまりそういうことは起こらないのだけれど。