英検の謎

たとえば、英検3級のCSEスコアの満点は2200だそうだが、平成30年度文科省発表の「対照表」によれば、CSEスコア2200はCEFR B1相当ということになる。英検のサイトによれば、CSEスコアによって「違う回に同じ級を受験した方の結果や同じ回に別々の級を受験した方の結果も、明確な数値で比較することができます」ということだから、英検3級で満点を取れば、CSEスコアは2200、CEFRの段階はB1ということになるのだと思われる、普通に考えれば。

うちの生徒で言えば、CSEスコアで2000を超える生徒も、CEFR B1という生徒も限られるので、大学進学希望者は大学入試英語成績提供システムで利用される英検3級満点を目指せばいいのだろうか。受験料も安いし。

でも、上述の「対照表」では3級のスコアは1699が上限になっている。1699を上回るスコアの3級受験者は実際に存在するのだけれど、いったいどういうことだ? 

要するに、大学入試英語成績提供システムで利用される英検3級の受験者は、実際のCSEスコアにかかわらず、CEFR A1・CSEスコア1699を上限とした成績が大学に提供されるってことらしい。英検のサイトのとてもわかりにくいところにある「各種目的に応じて求められる英検Rの品質についての考え方、ならびにその活用に関するガイドライン」というページに書いてある。

CSEスコアが一定のポイントを超えないとCEFRの算出がされないってのも初めて知った。たとえば、英検2級でCSEスコアが1728に達しなければ「CEFR算出外」となるらしい(A1でいいと思うのだけれど……)。英検はCSEスコアを「絶対指標」と言っているけれど、こういう扱い方をしている以上、「絶対指標」とは言えないんだろうな。

英検は各級での合否とCSEスコアというダブルスタンダード(敢えて「ダブルスタンダード」という言い方をさせてもらうけれど)なので、英検3級合格でCSEスコア2200という生徒と英検2級合格でCSEスコア1980という生徒が存在することになる(大学入試英語成績提供システム上はそうならないとしても、実際には存在する)。英検としては、どちらの生徒の「英語力」が上と考えているのだろうか。

謎だ。

ところで、英検のサイトによると、S-CBTは「問題形式・難易度は通常の英検(従来型)と同一」とのことだけれど、ライティングやスピーキングの評価については「同一」とは書かれていない。問い合わせてみたら、評価方法の変更の可能性は否定しなかった。詳細未定とのことだった。新しい情報としては、アティチュードは評価されるのだそうだ。コンピュータが相手なのに、何をどうやって評価するのか聞いてみたけれど、それは「非公開」とのことだった。

謎だ。

というわけで、わからないことだらけだ。英語の教員がこれだけわからないのだから、他教科の教員はもっとわからないだろうし、生徒たちもわからないだろう。そういう状況の下で、9月に予約受付をするのだそうだ。