昔話

今は昔、センター試験第6問で物語文が出題されていた頃、師でもあった同僚
のY先生が、センター試験対策の課外補講で第6問と同形式の物語文を扱ったと
きに、あまりに感動的な講義で生徒たちが感涙したという話を聞いた。入試で点
数を取ることを目的とした、ある意味では究極的にドライなはずの補講の場で、
生徒たちが心を動かされて涙するという究極的にウェットな状況が生まれたわけ
だ。たぶん、生徒たちも忘れられない授業になったのではないか。

さて、先日行われた共通テストでは、事務的な英文を淡々と処理することが求
められているように見える。たぶん、Y先生の補講のような奇跡が起こることは
もうない。僕にはずいぶん偏っているように見えるのだけれど……