3年生が勉強していたので覗いてみたら『DUO』をやっていた。塾で薦められたそうだ。無責任な塾だと思う。この生徒の現状を客観的に理解していれば、『DUO』を薦めることはあり得ない。この生徒のことを知らないか、『DUO』のことを知らないか、あるいはその両方か。

 

ところで、僕はこの単語帳はあまり好きではない。第一に、一文に覚えるべき単語が複数あるのは、少なくとも英語の得意でない生徒にとってはハードルが高すぎる。第二に、覚えるべき例文の意味がネガティブなものが多くて滅入る。他にいくらでも良い単語帳があるのに、敢えてこの単語帳でなくてもいいような気がする。いや、たとえば、大学生や社会人が英語をやり直すのなら(つまりは、一度は覚えたはずものをやり直すのなら)、この単語帳で良いのかもしれないけれど、初めてその単語を見る高校生には向かないように思われる。

 

一方で、相談に来た別の3年生に、方向性の異なる単語帳を3種類くらい見せて、好きなものを選んでもらったことがある。その生徒は語彙力に問題があって、学校で与えられた単語帳ではどうもモチベーションが上がらないらしく、相談に来たのだけれど、新たな単語帳を手にして順調に消化していて、予定通りに間もなく1冊を完了する見込みだと報告してくれた(僕の薦めたやり方では「完了」するためには、すべての単語を3回やり直すことになるのだけれど)。あまりに順調なので驚いたら、「単語を覚えるのが楽しい」と言いやがった。あれだけ単語を覚えるのが苦痛だと言っていたのに。

 

いや、生徒にぴったりの単語帳を選んだ僕が偉いという話ではない。ポイントは、好きな単語帳を生徒自身に選ばせたということだろうと思う。多くの場合は、どの単語帳を使うかということよりも、ちゃんとやり通すかどうかということの方が重要だろうと思う。どんな単語帳を使おうと(世の中にはひどい単語帳もあることは否定できないけれど)、ちゃんとやればそれなりの効果があるのだろう。それなら、自分の気に入った単語帳を使うのがいいんじゃないだろうか。

 

そう言えば……ちょっとしたエピソードを思い出したけれど、今は時間がない。気が向いたらいずれそのエピソードも紹介しようと思う。